私は夏が嫌いだ。
柔らかいアコースティックギターの音で始まったかと思えば、気づけば身体中の臓器を震わすような轟音サウンドの中で泳いでいた。
海辺の街から来た転校生の少年と、海を見たことがない少女。この2人の出会いと別れを、甘酸っぱくなぞる歌詞がくすぐったくも楽しい。まっすぐで自然な描写なのに、そこには2人だけの特別が確かに存在する。
太陽を柔らかく反射するように煌めくギター。そこに溶け込むように、馴染んでいくように歌う春希さんのボーカル。春希さんが歌えば、歌詞で紡がれた景色や空気感、心情が、まるですぐそばに、手を伸ばせば届く距離にあるような気がしてしまう。
この一枚が表した夏は、海は、どこまでも清らかで、涼しかった。こんなにも爽やかな夏ならば、ずっと夏でいいのに…!ぼんやりと、ただ純粋にそう思った。
海を見たことがない「わたし」は、いつの日か海が見られるのだろうか。
今も多分、きっと…私は夏が嫌いなはずだ。
内山結愛(RAY)