『Blue Peter』徹底解説! セルフ・ライナー(前)

この記事を書いた人
管梓

エイプリルブルーの作曲とギター担当。
For Tracy Hydeや作家業でも活動。
ヒーローはザカリー・コール・スミス(DIIV)と木下理樹(ART-SCHOOL)。
親のお下がりのGR1sを手に入れて以来写真がアツい。
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ハーイ!
エイプリルブルーの作曲担当、管梓です。
春ちゃんの記事にもあった通り、エイプリルブルー始動発表から1年経ちましたね。

2019年は山あり谷あり激動の一年……ということはまったくなく、楽しくピースフルに活動をさせていただきました。
ご支援いただいたたくさんの皆様に心より感謝を申し上げます。
2020年はご周知のとおりコロナウィルス蔓延に伴い苦難のときを迎えておりますが、皆様とともに乗り越えていつかまたライブハウスでお目にかかれましたら幸いです。

活動1周年を記念して、2回にわけて『Blue Peter』の全曲解説を書きます!
元ネタを集めたSpotifyプレイリストと併せて、外出自粛中の暇つぶしにでもご覧ください。

1. Intro
Luby Sparksがライブの1曲目で必ず演奏している「Intro」やRideの最新アルバム『This is not a Safe Place』の「R.I.D.E.」のような、いかにも「始まりますよ~」という曲をつくりたくてつくった曲。

春ちゃんがテンションを上げられるように、American Football的なミッドウェスト・エモ風のきらきらしたアルペジオ・パート→轟音疾走パートと春ちゃんが好きな音を詰め込みました。
ライブでメンバー紹介をするのに最適な曲になっていることに春ちゃんが気づき、メンバー紹介も兼ねて演奏しています。
また、全体的な構成がM83「This Bright Flash」を参照しているのもポイント。
ドリーム・ポップ的なルーツをJ-Popに上手く組み込む、それがエイプリルブルー。

2. エイプリルブルー
バンドの代名詞ともなっているセルフタイトル曲で、昨年バンド始動発表と同時にMVを出した曲でもあります。
元々エイプリルブルーは僕が春ちゃんとカラオケに行った際に彼女の歌声に惹かれ、僕から誘って結成したバンド。
そのカラオケでとりわけ印象に残っていた曲のひとつがきのこ帝国の「疾走」で、この曲から大いにヒントを得ました。
仮タイトルはずばり「きのこ帝国」。
一方でリスナーの皆様からはたびたびthe brilliant greenなども引き合いに出されています。

その後じっくり時間をかけ、何往復ものやり取りを重ねて、バンドとしての記念すべき一曲目である「エイプリルブルー」が完成。
春ちゃんの歌声の透明感を活かす切なさを大切にし、轟音とポップネスを併存させる、というバンド・コンセプトもこの曲が出来たことで固まりました。
全体のアレンジも各メンバーがふだんほかのバンドでやっていることを念頭に置いて、当時の自分に可能な範囲内でなるべく持ち味を出そうと心がけました。
一曲目にして至高というか、個人的にはまだ超えられていないと感じる大きな壁でもあります。
それくらい気に入っている曲。

MV制作は折りしも素晴らしい新譜をリリースしたBearwearの一真君が担当、フィルムっぽいノスタルジックな質感の映像に仕上げてくれました。

ちなみにアルバム版はMV/配信版とテイクが異なり、再録されたものとなっています。
カイ君のリード・ギターの音づくりやムラオキ宮澤ペアのリズムのまとまりなど、聴き比べるとかなり印象が違うはず!

3. スターライト
バンドとして2番目に完成させた曲で、「エイプリルブルー」の仮歌を自宅で録った直後にその場でつくり、春ちゃんにメロディを憶えさせました。
僕と春ちゃんの音楽的な共通項のひとつがスーパーカー、およびその影響下にあるバンドたち、ということでつくった男女ユニゾンによる轟音疾走ギター・ポップ・ナンバーになっているのですが、サビのあとのキメがASIAN KUNG-FU GENERATIONの「未来の欠片」と酷似していることにのちに気づきました。
スーパーカーとアジカンがまさかのドッキングを果たしているのがこの曲のおもしろさだと思います。

ライブで演奏するのも楽しい!
こちらは今年2月の『Blue Peter』リリース・ツアーでの演奏の模様。

4. ベイビーブルー
インディ・キッズなら誰もが大好きなThe 1975。
ご多分に漏れず、エイプリルブルーのメンバーたちも大好き。
僕はそんなThe 1975のサウンドが好きすぎるあまり模倣するのが得意になってしまい、たびたび参照点としています。
たとえばFor Tracy Hydeの人気曲のひとつであるこちら。

あるいは・・・・・・・・・(ドッツ)に提供したこの曲も。

エイプリルブルーでもThe 1975的なエッセンスを感じる曲をつくりたい、と思っていたところへ春ちゃんからあるLineが入り、そこからインスピレーションが爆発。
異例のスピード感で制作が進み、実質ひと晩で完成しました。

切なくもスケール感のあるアンセムをつくるべく、参考にしたのはThe 1975の「Robbers」やChase Atlanticの「Falling」。

エイプリルブルー始動に当たって自ら課した制約のひとつとしてシンセサイザーを使わない、というものがあったのですが、Electroharmonix Superegoを使ってシマー・リバーブのループ(曲を通してずっとバックで鳴っているきらきらした音)をつくることでシンセ・パッド的なきらめきと空間の広がり、ドリーミーさを表現。
アイディアの勝利により、ギター・バンドの編成でThe 1975っぽさを表現できました。
ライブで演奏するといい具合にスタジアム感が出るのは宮澤君のドラムの成せる技か。

5. 朝
「ベイビーブルー」を皮切りに、春ちゃんが「こういう曲が欲しい」「いまこんな気分だからこんな曲つくって」という要望や無茶振りをよこし、それに合わせて曲をつくるというパターンが定着するのですが、これはその産物のひとつ。
思いがけず意中の相手と過ごす早朝のひとときを描いた歌を歌いたい、という春ちゃんの要望と、アルバムの箸休めになるようなアコースティックな曲があるといいよね、というバンド内で出た意見が合致し、早朝に春ちゃんがLineでオーダーを送ってきてから2~3時間でデモが完成。
雰囲気としてはBen Watt『North Marine Drive』を目指したものの、ミックス時にエンジニアの岩田さん(Triple Time Studio)のマジックが働き、結果まったくの別物に生まれ変わりました。

音源では僕が2本のアコースティック・ギターを両方とも弾いているのですが、ごまかしが効かない分難しくて大変でした。
でもなかなかいい雰囲気になったと自負しています。

今回はひとまずアルバムの折り返し地点まで!
続きをお楽しみに。

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