Bedroom Covers #1: My Little Lover「Hello, Again 〜昔からある場所〜」

この記事を書いた人
管梓

エイプリルブルーの作曲とギター担当。
For Tracy Hydeや作家業でも活動。
ヒーローはザカリー・コール・スミス(DIIV)と木下理樹(ART-SCHOOL)。
親のお下がりのGR1sを手に入れて以来写真がアツい。
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チャオ!
エイプリルブルーの作曲とギター担当、管梓です。
12月4日にデビュー・アルバム『Blue Peter』が全国主要レコード店にて発売、そして2月に東京と大阪でリリース・パーティ開催ということで、『Blue Peter』リリースを盛り上げるべく今回新たな企画が始動しました。
その名も『Bedroom Covers』!
時代、国、ジャンルを問わずさまざまな名曲たちをエイプリルブルーなりにアレンジし、宅録でカバーしようという企画です。
記念すべき第一弾はMy Little Loverの「Hello, Again 〜昔からある場所〜」!

原曲はこちら。

実はアメリカで育ったこともあってか「ニューJ-POP」を標榜するバンドにいながら決してJ-POPに詳しくはない僕。
この素晴らしすぎる名曲と出会ったのも、エイプリルブルーの結成のきっかけにもなった春ちゃんとのカラオケです。
翳りのあるメロディとコードワーク(サビのオン・コードや転調の使い方がそれはもう絶品……)、詞世界もさることながら、しっとりと歌いこなす春ちゃんの声もまた強く印象に残っていて、本シリーズの始動にあたって自然とこの曲を取り上げることになりました。

アレンジ・ポイント:Oasis一夜漬け

「Hello, Again」をどうアレンジするかという観点で改めて聴き返したときに、頭に浮かんだイメージが2パターンありました。
ひとつはOasis風のブリットポップ調のアレンジ
これは初期Oasisの轟音サウンドにエイプリルブルーのサウンドと通ずる部分があるのもあって、個人的にかなりしっくり来ました。

もうひとつは米津玄師の「ミラージュソング」のようなポストThe 1975的アレンジ
こちらは僕がエイプリルブルー始動にあたってアレンジ面における制約として設けた「シンセ禁止」という原則をかいくぐって形にするのが難しく、また転調の存在がThe 1975的なループ感のあるアレンジとそぐわないのもあって、没となりました。

アレンジの方向性も決まり順風満帆……かと思いきや、ここでひとつ大きな問題に行き当たりました。
それは「僕がOasisに別段詳しくもなければ思い入れが深いわけでもない」こと(なぜOasis風にアレンジしようと思い立ったのかは謎である)。
そこでアレンジに際してSpotifyでひと晩じゅう延々とOasisの初期のアルバムを聴き込み、代表曲の要素を切り貼りすることで形にしました。

パーカッションとギター・ストロークからはじまるイントロの構成は「Stand By Me」。

全体の雰囲気やギター・ソロの感じは「Don’t Look Back In Anger」。

サビで右チャンネルに入るフレーズは「Supersonic」。

そしてアウトロで左右に入るオクターブ・ユニゾンのフレーズは「Champagne Supernova」。

初期Oasisの雰囲気を再現すべく、EpiphoneのギターをGarageBandのMarshallアンプのシミュレーターに通して弾いたり、ドラムにディレイをかけて厚みとグルーヴを出したり、これみよがしにペンタトニック・スケール(ノエル・ギャラガーがギター演奏で多用する和音階に近いベタな5音のスケールで、泥臭さを演出できる。キーがCであればド・レ・ミ・ソ・ラ)のフレーズを大量に入れたりとさまざまな工夫を凝らしました。
こんなにクサいフレーズを延々と弾き続けたことがこれまでになかったので、なんだか新鮮な気分でした……。
ちなみに先ほど原曲のサビでのオン・コードの使い方を褒めておきながらこう言うのもなんなのですが、オン・コードなどという洒落たものは今回のアレンジの趣旨にそぐわないのではないかと感じたため、オン・コードを排除したほか、楽曲全体を通じてコード進行のボイシングを変えた箇所がちらほらあります。
さらにOasisサウンドの日本的な解釈としてWINOやthe brilliant greenなども参照し、どうにかアレンジが完成。
春ちゃんの歌入れは歌い慣れた曲というのもあって瞬く間に完了。
その後村岡君が自宅でベースを録音し、メンバー3人の共同作業で音源が完成。

正直な話、出来には大満足でとても気に入っています。
原曲に慣れ親しんだJ-POPファンはもちろん、UKロック好きにもぜひご一聴いただきたい自信作です!

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エイプリルブルーのデビュー・アルバム『Blue Peter』は12月4日にP-VINEより発売されます。お楽しみに!

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