それでもはじめるということ

この記事を書いた人
春希

歌と歌詞と、広報周りを考えたりサイト作ったりを担当。人生初のバンド・エイプリルブルーを組むまではイベントの企画とかしてました。

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昔から終わりばかりを見てしまう。
楽しみなイベントごとは、何日後には全部終わってるのか、と、近づくにつれて始まる前から寂しかったし、ずっと好きだった男の子とやっと結ばれたときだって、いつどうやってお別れするんだろうななんて考えてこっそり悲しくなる。
友達と別れた帰り道、家族に見送られて実家を後にするとき、次がなかったらどうしようと苦しくなる。

わざわざなにかをはじめるようなことはできるだけしたくない。
楽しいほどに終わりばかりを見てしまい、自分で自分の首を絞めるようなものだ。

でも、そんな気持ちが全部ふっとんで、飛び込んでみたくなる瞬間が時々ある。
管が初めてわたしが歌うために書いた曲を聴いた瞬間が、そうだった。

管は、歌ってみなよにとどまらず、歌詞を書いてみなよとわたしに言った。
明るいだけ、前向きなだけの音楽は苦手。
嘘っぽくて受け入れられない。
かと言ってどこまでも暗い音楽も好きになれない。
なんだかんだで、できればハッピーに過ごしたい。
経験はなかったけど、ためらいもなかった。
終わりに続く扉を開く勇気を、いつか離さなきゃいけない手を握る勇気を、自分のもてるすべての言葉と声をもって肯定しよう。
そんな気持ちで、1年間で10曲、初めて詞を書いて、歌を歌ってきた。

今日、エイプリルブルーのデビューアルバム”Blue Peter”がリリースになりました。
ブルーピーターは、出帆旗、出港の準備が整ったことを示す信号旗のこと。
一番肯定したかったのは、怖くて、不安で、切なくて、それでも4人と一緒にバンドをはじめることを選んだ自分自身かもしれない。
そうだとすれば、できたね、よかったね、で終わりでいいのだけれど。

ありがたいことに、エイプリルブルーを良いと言ってくれる人がいて、CDは出ないの?と楽しみにしてくれる人がいて、エイプリルブルーを広めようと動いてくれる人がいて。
エイプリルブルーの音楽がラジオで流れ、雑誌で紹介され、そして、お店にCDが並んだ。

わたしはエイプリルブルーで歌える今が本当に楽しくて、幸せで、その分だけ、やがてくる終わりを思って今から切ないけれど、それでもエイプリルブルーをはじめて本当によかった。Blue Peterを世に出すことができた。
どうか届いてほしいと、今はそう願ってやみません。

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